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チェスソフトとの付き合い方

チェスソフトを良きパートナーに

 

ゲームの振り返る時に役に立ってくれるチェスソフト。

巷にはStockfish、Shredder、Fritzなど無料のものから有料のものまで様々あります。

今回は初中級者のソフトとの付き合い方について記事を書いていきます。

良いパートナーである反面やる気を削ぐ存在になってしまうこともあります。

適切な関係になれるように注意しましょう。

 

ソフトの功罪

 

ソフトは良い面も悪い面も併せ持っていると思います。一つずつ確認してみましょう。

 

良い面

 

・最善手がわかる

ソフトは結論が出る局面では人間より速く正確です。例えばメイト、駒得できる局面では「ほぼ」間違えることはありません。

(ほぼとは特殊なプロブレムや長手数のメイト問題では最善を示すことができないことがあるためです。) 

ソフトを使って解析する場合に見逃したメイト、タクティクスを的確に示してくれるので自分がどのようなモチーフを見落としやすいか可視化できます。

 

・対戦相手

日本では自分と同じレベルの対戦相手を探すのが難しい環境です。

しかし、ソフトであればレーティングをコントロールして対戦すれば自宅でも相手に困ることはありません。

一般的にソフトはタクティクカルで、人間とは違った指し回しをすることが多いです。

人間同士の対局と同じとはいきませんが特定の苦手分野がないのでラッキーで勝てるということが少ない。

たまに意味不明の手を指しますがレーティングが上がるにつれてそういった不自然な手が少なくなります。

(人間でもうっかりミスや時間切迫でやけくその手が出たりするのでお互い様ということで)

Chess.comでは対戦相手の得意分野や癖を変えることができるようです。

設定を色々と変えて対戦すれば良きライバルになってくれるはずです。

 

悪い面

 

・手の意味がわからない

ソフトは最善手を教えてくれますが、その手の意味を教えてくれることはありません。

特にタクティクス等の短期的な狙いがない場合、どのような意味があって最善手を示しているのかわからない場合があります。

最善手の意味を読み取るには相応の実力が必要になります。

 

・ソフトしか指せない手がある

「これは人間には指せない」という言葉をチェスの解説者から聞くことがあります。

人間では最初に省いてしまうような不自然な手で、尚且つ正確に読み切らないと駒損するような手です。

実際のゲームでは時間制限があり、勝敗もかかっていますのでリスクを取らず見逃される、あえて見逃すということが多々あります。

 

・強すぎる

とにかく強い。当時世界最強だったカスパロフがディープブルーに負けたのが1997年。それからもソフトは強くなり続け、世界最強ソフトに勝てる人間はいません。

マスター同士の対局中に解説者はソフトの候補手を見ながら解説することが多いのですが、メイト、悪手を瞬く間に指摘してしまうためロマンがなくなりました。

また、序盤研究にソフトを活用することが必須になったため、以前のチェスとはかけ離れしまっているという指摘もあるようです。

 

ソフトとのうまく付き合うために

初中級者者がソフトを使って解析、検討をすると自信を失ってしまうことが多いようです。

ソフトは指し手の意味は教えてくれず、あれがダメだったこれがダメだったとダメ出しだけしてくる厳しいコーチのようなものだからです。

しかしソフトと良い距離を保ってうまく使いこなせば強い味方になってくれると思います。

それではまず以下2つに気をつけていきましょう。

 

①見逃したメイト、タクティクスだけを確認する

ソフトは実戦でのメイトとタクティクスを見逃しません。

まずは対局中の自分が見逃したメイトとタクティクスがないかだけ確認しましょう。

同時に相手が見逃したメイトとタクティクスもしっかり確認しましょう。

 

メイトとタクティクスが決まる前にミスに繋がる緩手があります。その原因をしっかり見直すだけで勉強になります。

初心者、初級者は1点(ポーン1個分)以上の短期的なミスを重点的に振り返りましょう。

それ以下はあまり気にしなくてもいいでしょう。

中級者は0.5点以上のミスを重点的に振り返りましょう。1点以下のミスは主に長期的な弱点になる指し手であることが多く、自分なりに手の意味を考えるだけでも勉強になるはずです。

 

②ソフトの最善手が最善ではない

ソフトの提示する最善手を指せなくても気にしなくて良いです。

完璧主義に陥るとチェスが辛いものになってしまいます。

チェスは最善手を探すゲームではありませんし、そもそもソフトの最善手を指し続けられる人はいませんから。

人間同士の実戦ではソフトの最善手が最善とは限りません。

マスターの中盤では最も良い手より、自分が悪くならない手を指して相手の様子を見ることが多々あります。

最善手でなくとも、途中に悪手があろうとも勝つことができればよいのです。

 

チェスはミスのゲーム。ミスをしながらも自分なりの最善手を指し続けていきましょう。

また人間同士の対局は、ハッタリあり、心理的かけひきあり、時間制限ありと盤上で起こっている以外の部分も関係してくるから面白いです。

 

以上ソフトを使うときの注意点を書いてきました。

ソフト最善手に拘らず楽しく指すことを大事にしてください。