· 

【タクティクス】ピンを使いこなそう!

ピンは剣よりも強し。 ラインフェルド

ピンされた駒の防御力は空想だ。 ニムゾヴィッチ

 

ピンはタクティクスの中でも最も簡単で、最も強力です。

積極的に使って駒得を目指しましょう。

 

ピンとは

敵の駒を「釘付け」にして動かせなくするテクニック。

タクティクスの基本の一つとしてしっかり覚えておきましょう!

 

ピンができる駒はクイーン、ルーク、ビショップの3種類。

いずれもラインピースと呼ばれ直線的に攻撃する駒です。

ピンができない駒はキング、ナイト、ポーンの3種類で、いずれも点や面で攻撃する駒ですね。

 

文章ではピンと来ないので、早速ピンしてみましょう!

 

ビショップがルークをピンしています。

低い価値の駒(ルーク)の後ろに高い価値の駒(キング)がいる状態を「ピンしている」といいます。

ルークの後ろに取られては負けてしまうキングがいるのでこのルークは絶対に動けません!

これを絶対ピンと言います。

 

この場合もビショップがナイトをピンをしています。

3点のナイトの後ろに9点のクイーンがいるのでナイトは動けません。

もしうっかり動いてしまうと黒クイーンが白ビショップにとられてしまいます。

白のビショップ3点を取り返したとしても黒は−6点。大幅な駒損となります。

 


 

危険がなさそうな局面でも、、、。

 

 

ナイトがタダで取れてしまう!

絶対ピンで動けないポーンの防御力は幻想だった!!

 


一見問題なさそうな局面だが、、、。

 

黒のポーンはピンされていた!

白クイーンが黒クイーンを取るとバックランクメイトが決まってしまうため取り返せない!!

どの駒がピンしているか、ピンされているか確認する癖をつけていきましょう。

 


ピンのコツ

ピンは相手のピースの動きを制限する強力な武器です。

しかし、ピンしているだけでは相手の脅威にはなりません。

ポール・モーフィーの名局オペラゲームを使ってピンのコツを学びましょう。

1. パイルアップ

 

オペラゲームの中盤、モーフィーの華麗な攻撃はとても勉強になります。

白のビショップはそれぞれナイトをピンしています。

しかしこれではまだ決定的な脅威になっていません。

モーフィーは駒の展開を速めるために駒損しているのでピンをうまく使ってメイトまたは駒得しなければいけない状況。

白の次の一手は・・・。

 

ロングキャスリング!

 

キングを安全な場所に避難させながらルークでピンされているナイトへさらに攻撃を加えます。

このようにピンされた相手のピースに攻撃を重ねることを「パイルアップ」と言います。

このままではナイトが取られてしまうので黒はナイトを守るしかありません。

 

 

黒はルークでナイトを後ろから守りました。

しかし黒はピンされたり守ったりで身動き取れないピースばかりですね。

「モーフィー、チェスのピン祭り」状態です。

そしてここから怒涛の連続攻撃が始まります!

次の白の一手は・・・。

 

 

ルークでナイトを取りました!

ナイトは3点、ルークは5点なので駒損している状況なのにさらに駒損する交換をします。

しかしこれには理由があります!

 

 

黒はルークで取り返しますがビショップの絶対ピンがあるのでこのルークは動くことができません。

白がルークで黒ナイトを取った理由はこの絶対ピンを続けたかったから!

この黒ルークに対してさらにルークでパイルアップ。攻撃の手を緩めません。

白はすべてのピースが攻撃参加して素晴らしい連携です。

 

 

黒はクイーンを動かしてナイトのピンを解除。

ピンを解除し、ナイトがルークを守れるようになり、クイーン交換をして白の攻撃を弱めようとする一石三鳥の手。

それでもモーフィーの攻撃は止まりません。

 

 

すべてお見通しのモーフィーはまずビショップでルークを取ります。

チェックでキングとクイーンの両取なので黒はナイトでビショップを取り返します。

そして次の局面。

 

 

このゲームのクライマックス。美しいチェックメイトで幕を閉じます。

オペラメイトと名づけられた2手メイトを見つけてください。

 


このような局面。

絶対ピンをした後は?

 

ポーンでパイルアップ!

これで黒のナイトはポーンの餌食になります。

ピンをしたら、パイルアップ。セットで覚えておきましょう。

 


2. ピンの継続

この局面ではビショップでルークをピンしています。

ビショップが3点、ルークが5点なので白としては2点分の点差を取り返せるチャンスですが、、、。

 

ルークで取る!

黒はルークで取り返すしかないですが、ビショップの絶対ピンが継続しているので黒ルークは一歩も動けない。

そこへパイルアップ!

 

一歩も動けないルークは取られるしかない。

これでピースアップ。ポーンをプロモーションさせて白の勝ちです。

 

オペラゲームでも出てきましたが、駒の損得よりも絶対ピンを継続する手も考えるようにすると良い手が見つかるかもしれません。

 


 

例えばこの局面

 

 

ビショップがルークをピンしています。

チャンスとばかりに交換すると黒のキングが前進してきてエンドゲームで厄介なことになりそうです。

よく見てみると黒キングがどこかへ動くとルークの守りが外れて、白はタダで黒ルークを取れることに気づきます。

こんな時も絶対ピンを継続!白は急いでルークを取る必要はありません。

ピンを継続することで黒のキングとルークが身動きの取れない状況を作り出します。

 

 

白の方針としてはポーンを前進させてクイーンを作ります。

ルークは絶対ピンで一歩も動けないので安心してポーンを進められます。

もし黒キングがポーンを止めようと動けばルークを取って有利なポーンエンディング。

白は余裕で勝てます。

 

このように「ピンを継続する手」もしっかり読めるようにしていきましょう。


ピン破り

以降 執筆中